好業績支えるローソンの最新商品政策を解剖! PB大リニューアルのねらいとは?
前期に続いて2025年2月期も増収増益となったローソン(東京都/竹増貞信社長)。同社の好業績を支えるのは、綿密な顧客調査に基づいた新商品開発、既存商品のリニューアルだ。
26年2月期の商品政策では、5年ぶりにプライベートブランド(PB)を刷新する方針を打ち出しおり、ブランドラインの整理、パッケージデザインのリニューアル、そして圧倒的なおいしさの追求によってさらなる支持拡大をめざす。
商品開発と販促施策が好業績に寄与
ローソンの業績が好調だ。25年2月期の既存店売上高は対前期比3.6%増で、客数は同1.5%増、客単価は同2.1%増といずれも前期を上回った。全店平均日販も1万8000円増加し、過去最高の57万4000円となっている。20年に立ち上げた「ローソングループ大変革実行委員会」のもとで進めてきた商品の刷新や販促施策、デリバリーサービス導入店の拡大などが奏功したかたちだ。
そのうち商品面においては、25年2月期は「定番商品」と「チャレンジ商品」の2軸で改革を進めてきた。

定番商品では、売上高構成比が高いおにぎりや麺類のリニューアルを行った。たとえば「手巻おにぎり」の「熟成紅鮭」では、具材の鮭の色味やおいしさを強調するため、鮭の比率や具材のサイズを変更。麺類では、ソースを増量させた生パスタの「ソースたっぷり」シリーズを新たに発売した。
一方、他社との差別化で新規顧客の獲得をめざすチャレンジ商品は、新しいコンセプトを軸に商品開発を行った。そのなかでヒットしたのが「振っておいしいパスタサラダ」だ。従来のパスタサラダはドレッシングが別包装のため、食べる際に手間がかかりゴミも多く出たが、同商品はドレッシングをそのまま容器に入れており、容器を振るだけですぐに食べられるように仕様を変更。
そうしたタイパのよさに加えて、野菜と具材の肉、海鮮類を一度に食べられる栄養バランスの高さでも支持を集め、発売から約4週間で300万個を売り上げたという。

ほかにも新たな取り組みとして、店内調理の弁当や総菜を提供する「まちかど厨房」で、初めて季節限定商品を販売した。たとえば夏は「おろしロースかつ丼」、秋は「とろ~り月見鶏つくね丼」といった具合にメニューの幅を広げた。

物価高が続く中、コスパを重視した商品もヒットした。23年2月に開始した価格据え置きで商品の重量を増やす「盛りすぎチャレンジ」が定番人気企画として定着したほか、25年2月期はローソン初の福袋企画に挑戦。
カップ麺や菓子を詰め合わせた「ローソンの福袋」(税込1080円)を販売したところ、発売初日にほぼ完売となるほどの売れ行きを見せたという。

新PBで具現化めざす、ローソンの「3つの約束」
26年2月期の商品政策では、前期に続いて定番商品とチャレンジ商品の2軸で商品開発を進めつつ、約5年ぶりとなるPB刷新を行う。ローソンは3月、創業50周年を機に、新PB「3つ星ローソン」を投入すると発表。
ローソン商品本部長の藤井均氏は「日本では高齢化が進み、人口も長らく減少傾向にある。その中で重要になるのはお客さま一人ひとりとの長いお付き合いだ。これまでのトライアルに加えて、毎回リピートして購入いただける商品に変化していかなければいけない。その中心になるのが、3つ星ローソンだ」と説明している。
PB刷新の背景には、これまでのローソンPBが抱える課題もあった。ローソンのPBは「からあげクン」や「おにぎり屋」のほか、20年にリニューアルした「L basic(エル ベーシック)」、「L marche(エル マルシェ)」など20近くのブランドが存在していた。ローソン理事執行役員で商品本部統括部長(デイリー担当)の友永伸宏氏は「PBが乱立し、お客さまにローソンのPBを明確に打ち出すことが難しい状況だった」と振り返る。

そこで、これまで展開してきたPBをすべて「3つ星ローソン」に集約。そのうえで認知度の高い「からあげクン」「MACHI café」「まちかど厨房」「Uchi Café」の4ブランドは、
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