ラッピングフィルム市場、多様な活用法の提案が奏功し需要は堅調に推移
物価高騰による節約意識で食品の保存ニーズが高まり、ラッピングフィルム市場は堅調に推移している。メーカー各社ではラップの活用方法などを訴求することで、引き続き需要拡大を図っている。
価格改定の影響で、期間通算の金額PIは微増
KSP-POSデータによるとラッピングフィルムの期間通算(2022年10月~23年9月)の金額PIは、2346円で対前年同期比6.4%増、数量PIは9.36で同10.2%減。価格改定の影響で金額PIでは微増となったが、数量PIでは2ケタ減となった。ただ、物価高騰による節約意識により、食品保存のニーズは高まっており、ラップの使用頻度は堅調に推移しているといえる。

ラップ市場をリードしているのが、ポリ塩化ビニリデン製の商品。旭化成ホームプロダクツの「サランラップ」と、クレハの「NEWクレラップ」が2大ブランドで、市場の8割のシェアを占めている。ポリ塩化ビニリデン製のラップは、密着性が高く、水蒸気や酸素を通さないので食品の乾燥や劣化を防ぎ、におい移りもしない。さらにハリ・コシがあるため丈夫で切りやすいのが特長だ。
こうした高い品質によりユーザーから支持されているが、物価高になると価格の低いポリエチレン製ラップに一部需要がシフトする傾向にある。ポリエチレン製ラップは、酸素を通すためにおい移りしやすいが、酸素を必要とする野菜や果物の保存に向いている。また、耐熱温度が低く、電子レンジ使用ができないデメリットがある。クレハや旭化成ホームプロダクツでは、ラップの品質訴求やブランドロイヤリティを高めることでファン拡大を図っている。
クレハでは、より使いやすいパッケージをめざして、これまで170カ所以上も改良を重ねており、年間を通してテレビCMやWEB動画などで訴求している。また、「NEWクレラップ」をはやくキレイにカットするイベント「クレハカット選手権」を実施。クレハカットの切れ味や正しい切り方を楽しく学べるイベントとして好評だ。
旭化成ホームプロダクツでは、「サランラップ」と「ジップロック」共同で、「冷凍貯金」をキーワードにしたプロモーションを展開。食材やおかずを冷凍ストックしておくことで、忙しい毎日の暮らしにゆとりを生む習慣のことだ。「冷凍貯金」を定着させることで、使用頻度アップを図っていく。




売場活性化のためのMD EDITION の新着記事
-
2025/05/24
冷凍食品、多様化する消費者ニーズにこたえ コロナ禍明けも堅調に推移 -
2025/05/23
日本酒市場、食品とのクロスMDを強化し、日本酒とのタッチポイントを増やす -
2025/05/23
精肉1人当たり購入金額は減少傾向、簡便性や付加価値の訴求が活発化 -
2025/05/22
減塩商品の食卓出現頻度は増加傾向に、卓上調味料のニーズがとくに高く -
2025/04/07
菓子市場、物価高で食品全般が厳しいなか堅調も、カテゴリーごとには明暗 -
2025/04/07
スンドゥブ市場、韓流ブームを追い風に24年も市場は堅調に推移
この特集の一覧はこちら [164記事]

関連記事ランキング
- 2025-06-07ギフト市場、定番のギフトは縮小傾向 カジュアルギフトの需要拡大がカギ
- 2025-05-23日本酒市場、食品とのクロスMDを強化し、日本酒とのタッチポイントを増やす
- 2025-05-24冷凍食品、多様化する消費者ニーズにこたえ コロナ禍明けも堅調に推移
- 2023-11-186000坪に驚きの品揃えが満載!大阪、ハンズマン松原店の売場づくりを 徹底解説!
- 2024-03-08「おうち居酒屋」ブームも継続、食中酒提案で楽しく豊かな家飲み時間を創出
- 2023-11-27ラッピングフィルム市場、多様な活用法の提案が奏功し需要は堅調に推移
- 2025-01-30アイリスオーヤマ、赤ちゃん用紙おむつ事業新規参入
- 2021-06-24食用油、家庭内調理機会の増加で20年度の市場規模は1600億円を突破
- 2022-07-14商品開発に約4年!マルサンアイ「鮮度みそ」シリーズが人気だ
- 2023-09-12ごま市場、おいしさや健康価値をあらためて訴求し、若年層の喫食率アップを図る
関連キーワードの記事を探す
ドレッシング市場、サラダ以外の汎用使いが浸透、野菜高騰下でも堅調に推移
アイスクリーム市場、記録的な猛暑や長引く残暑で24年も市場は好調を継続
減塩商品の食卓出現頻度は増加傾向に、卓上調味料のニーズがとくに高く
ドレッシング市場、サラダ以外の汎用使いが浸透、野菜高騰下でも堅調に推移
アイスクリーム市場、記録的な猛暑や長引く残暑で24年も市場は好調を継続
ジャム・スプレッド市場、朝食の定番カテゴリー、パンに塗る以外の提案で使用頻度を増やす