小売業種からはトライアルなど8社が上場! 24年の新規公開企業のその後
各社の株価推移 トライアルは西友買収発表で大きな動き
では、これら13社の株価の推移を見てみよう。初値が公開価格を上回ったのは小売業が8社中5社、小売関連業が5社中2社だった。
トライアルの初値は2215円。公開価格1700円を約30%上回った。アルピコホールディングスは公開価格191円に対し、初値は201円(騰落率約5%増)。そのほかの小売業種は、光フードサービスが120%増(2.2倍)、NGSが39%増、インターメスティックが25%増となった。
騰落率がマイナスだったケイ・ウノ、伸和ホールディングス、ガーデンの3社もその後、公開価格を上回る高値をつけている。
2月28日終値と初値との比較では、騰落率が最も高かった光フードサービスが3分の1近くまで株価を下げたのに対し、騰落率7%減の伸和ホールディングスは2倍超、アルピコホールディングスも2割超、値を上げた。対して、トライアルは2割近く値を下げている。
小売関連業の5社はいずれも初値を下回る水準にあり、ラクサス・テクノロジーは約半値、キッズスターが3分の2まで値を下げるなど、下落幅が大きい。
2024年IPO企業の概要と、その後の株価推移
小売業8社
上場日 | コード | 企業名 | 事業内容 | 公開価格 | 初値 | 騰落率 | 直近株価 (2025/02/28) | 初値からの 変化率(%) |
上場来 高値 |
初値との 比較(%) |
上場来 安値 |
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2024/2/28 | 138A | 光フードサービス | 「立呑み 焼きとん 大黒」をはじめ、立呑み居酒屋を中心とした飲食店の展開 | 2660 | 5850 | 120% | 2223 | 38.0 | 6850 | 117.1 | 2061 |
2024/3/21 | 141A | トライアルホールディングス | 小売、物流、金融・決済、リテールテックなど、各事業を中心とした企業グループの企画・管理・運営(純粋持株会社) | 1700 | 2215 | 30% | 1812 | 81.8 | 3685 | 166.4 | 1794 |
2024/9/26 | 245A | INGS | 「らぁ麺 はやし田」、「CONA」、「焼売のジョー」を中心とする飲食事業の運営 | 1940 | 2700 | 39% | 2083 | 77.1 | 3200 | 118.5 | 1787 |
2024/10/8 | 259A | ケイ・ウノ | ジュエリー・時計の製造販売、オーダーメイド、リフォーム、修理 | 2320 | 2134 | -8% | 1341 | 62.8 | 2184 | 102.3 | 1203 |
2024/10/18 | 262A | インターメスティック | 眼鏡レンズ、眼鏡フレーム、サングラス等の製造販売および輸出入。メガネブランド「Zoff」の運営。 | 1630 | 2038 | 25% | 1655 | 81.2 | 2810 | 137.9 | 1594 |
2024/10/21 | 7118 | 伸和ホールディングス | 飲食事業として「炭火居酒屋炎」、物販として持ち帰り専門店「美唄焼鳥・惣菜炎」など | 1650 | 1530 | -7% | 3080 | 201.3 | 4050 | 264.7 | 1400 |
2024/11/22 | 274A | ガーデン | М&Aを活用した「壱角家」や「山下本気うどん」などの飲食事業 | 3200 | 3060 | -4% | 2594 | 84.8 | 3220 | 105.2 | 2395 |
2024/12/25 | 297A | アルピコホールディングス | 「デリシア」など小売、運輸、観光の各事業を中心とした企業グループの企画、管理および運営 | 191 | 201 | 5% | 248 | 123.4 | 350 | 174.1 | 190 |
小売関連業5社
上場日 | コード | 企業名 | 事業内容 | 公開価格 | 初値 | 騰落率 | 直近株価(2025/02/28) | 初値からの 変化率(%) |
上場来 高値 |
初値との 比較(%) |
上場来 安値 |
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2024/7/26 | 215A | タイミー | スキマバイトサービス「タイミー」の運営等 | 1450 | 1850 | 28% | 1576 | 85.2 | 2235 | 120.8 | 930 |
2024/9/26 | 248A | キッズスター | ファミリー向け社会体験アプリ「ごっこランド」の開発・運営及びイベントの企画・運営。Amazonネットスーパーなども出店 | 2560 | 2210 | -14% | 1418 | 64.2 | 2430 | 110.0 | 1132 |
2024/10/1 | 250A | シマダヤ | 「流水麺」をはじめとした、「めん」専業メーカー | 1880 | 1760 | -6% | 1503 | 85.4 | 1840 | 104.5 | 1340 |
2024/12/13 | 288A | ラクサス・テクノロジーズ | ブランドバッグのサブスクリクション型シェアリング事業 | 281 | 426 | 52% | 226 | 53.1 | 439 | 103.1 | 211 |
2024/12/19 | 299A | dely | レシピ動画サービス「クラシル」をはじめとするスマートフォンアプリの運営 | 1200 | 1001 | -17% | 925 | 92.4 | 1462 | 146.1 | 902 |
また、トライアルに関しては、25年3月5日、国内小売市場を揺るがすニュースが飛び込んできた。トライアルによる西友(東京都/大久保恒夫社長)の買収だ(25年7月1日子会社化予定)。
トライアルの株価は即座に反応し、前日(3月4日)の終値(1840円)から200円の上昇をみせた。売買高も前日から10倍近い動きとなり、2月14日以来の、終値2000円台(2040円)に回復した。
同社の株価は、2月13日大引け後に発表された25年6月期第2四半期連結決算において、連結経常利益が従来の6.3%増益予想から一転して減益(前年同期比11.3%減)で着地したことから、翌日(2月14日)には、前日終値(2609円)から500円近く下げ、その翌日からは2000円台を割り込んでいた。
トライアルと西友は、出店エリアや立地がそれほど重複しないため、店舗間のカニバリが少ない。トライアルにとって、これまで手薄だった関東エリア、とくに都市部の駅前立地の店舗を手にすることになり、成長戦略上大きな意義を持つとされている。
25年6月期の決算、7月1日の西友子会社化に向けて、今後同社の株価がどのように市場から評価を受けるのか、注目していきたい。