H2O、25年3月期は過去最高益に! カギを握る食品スーパー事業の新戦略とは

植芝 千景 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)
Pocket

2つのフォーマットの展開を本格化!

 26年3月期の食品事業においては、消費の二極化に対応した2つのフォーマットの本格展開を進めていく。現在、関西フードマーケットは価値訴求型(Aタイプ)と価格訴求型(Cタイプ)の2つのフォーマットを軸に、出店と改装を段階的に推進中だ。

 4月にCタイプの「関西スーパー デイリーマート市岡店」(大阪府大阪市)と、Aタイプの「阪急オアシス宝塚南口店」(兵庫県宝塚市)を相次いでオープンし、いずれも現段階で売上計画を上回る好調なスタートを切っている。26年3月期中は、出店・改装をいっそう加速し、店舗の競争力強化に取り組む方針だ。

 加えて、店舗運営の効率化にも注力する考えだ。従業員のマルチジョブ化やフルセルフレジの導入を進め、ローコストオペレーションの確立をめざす。

 また、林社長はオリジナル商品戦略にも言及。同社は現在、価値訴求型の「阪急プレミアム」、価格訴求型の「デイリーワン」を展開しているが、「デイリーワンの価格をさらに下回るような留め型、もしくはプライベートブランドの開発も視野に入れている」(林社長)と話した。

 こうした取り組みによって、26年3月期の食品事業は売上高4400億円(前期比2.7%増)、営業利益95億円(同6億円増)を計画している。

26年3月期の連結業績は減益の見通し

 一方で、26年3月期の連結業績は、前期に計上した特別利益の剥落に加え、世界情勢の不安定化によるインバウンド需要の減速や、「阪急うめだ本店」(大阪府大阪市)の改装に伴う売場閉鎖の影響で、減益となる見通しだ。売上高は6900億円(同1.2%増)、営業利益は300億円(同13.9%減)、当期純利益は180億円(同48.3%減)を予想している。

 H2Oは24~26年度の中期経営計画において、「国内顧客・店舗ビジネスの深化」を重点施策に掲げており、食品事業でも業態転換やオペレーション改革を通じた競争力強化を推進している。構造改革の成果を定着させ、持続的な成長軌道に乗せられるかが、今後の焦点となる。

1 2

記事執筆者

植芝 千景 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

同志社大学大学院文学研究科(国文学専攻)修士課程修了後、関西のグルメ雑誌編集部を経て、ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。関西小売市場やDX領域を中心に取材・執筆を担当している。現在は大阪府在住。

まとまった休日には舞台・映画鑑賞を楽しむほか、那智勝浦へ弾丸旅行に出かけることも。世界各国の家庭料理を再現するのも趣味のひとつだが、料理に入れたスパイスで歯が欠けたので今は控えめに取り組んでいる。

関連キーワードの記事を探す

© 2025 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態