H2O、25年3月期は過去最高益に! カギを握る食品スーパー事業の新戦略とは

植芝 千景 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)
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エイチ・ツー・オー リテイリング(大阪府:以下、H2O)は5月13日、2025年3月期の通期決算を発表した。インバウンド需要回復の恩恵を大きく受けた百貨店事業がけん引し、過去最高益となった。また、関西フードマーケット(大阪府)を中心とする食品事業も増収増益で着地している。同事業においては、関西市場の競争が激化する中、今後は二極化する消費動向に対応したフォーマットの再構築を通じて、競争力強化を図る方針だ。

4月25日にオープンしたAタイプの「阪急オアシス宝塚南口店」
4月25日にオープンしたAタイプの「阪急オアシス宝塚南口店」

百貨店事業、食品事業ともに好調!

 H2Oの25年3月期の通期決算(連結)は、売上高が対前期比3.7%増の6818億円、営業利益が同33.0%増の348億円、当期純利益は同59.1%増の348億円といずれも過去最高を更新した。

 主力の百貨店事業の総額売上高は6350億円(同0.5%増)、営業利益は282億円(同86億円増)と増収増益で、総額売上高、営業利益ともに過去最高を更新。連結業績を牽引するかたちとなった。

 食品スーパーを主力とする食品事業も増収増益で、総額売上高が4285億円(同0.7%増)、営業利益は89億円(同26.2%増)となった。既存店売上高は、イズミヤ・阪急オアシス(大阪府)が同1.0%増、関西スーパーマーケット(兵庫県)が同2.2%増といずれも前期を上回った。

 食品事業では値上げによる一品単価の上昇と客数の増加が売上増に寄与。また、販管費の大幅な削減が利益面の改善につながり、営業増益の伸びを後押しした。好業績の要因について、H2Oの副社長を兼任する関西フードマーケットの林克弘社長は「催事や季節感を捉えた販促が客数増に奏功した」と説明する。

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記事執筆者

植芝 千景 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

同志社大学大学院文学研究科(国文学専攻)修士課程修了後、関西のグルメ雑誌編集部を経て、ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。関西小売市場やDX領域を中心に取材・執筆を担当している。現在は大阪府在住。

まとまった休日には舞台・映画鑑賞を楽しむほか、那智勝浦へ弾丸旅行に出かけることも。世界各国の家庭料理を再現するのも趣味のひとつだが、料理に入れたスパイスで歯が欠けたので今は控えめに取り組んでいる。

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